前回の記事で、どこにも行かなくても今いる場所の見方を変えれば面白いものが見えてくるというようなことを書いた。しかし、今の僕にとって、家だけは例外である。家にいると何も手に付かず徒に時間を浪費してしまう。その暇を突いてまた気の滅入るような妄想に身を絡め取られたら事である。

 折しも、締切間近のレポートを抱えていたので、その準備に充てる場所を求めて外に出ることにした。そうして駅前までやって来たところで、どうも今日はスイッチが入るまでに読書が必要な日らしいと気付いた。読書をするのに場所の制約はないが、僕の場合一番読書が捗る場所は電車の中だ。そんなわけで、とりあえず電車に乗ってどこかへ向かうことにした。

 最初は大阪へ出ようと考えたが、毎度毎度同じところへ行くのも面白みに欠ける。折角ならば、行ったことがない場所へ当てもなく行ってみたらどうだろう。向かう先がどこであっても、カフェの1つや2つあるはずだ。メインはレポートだから、入る店は勝手知ったチェーン店で一向に構わない。

 気付けばめちゃくちゃ場所を選んでしまっているが、ともあれ僕はこうして、阪急芦屋川駅へ向かった。ところが、芦屋川の駅前は商業施設に乏しく、付近に留まっていたのでは肝心のレポートができそうにないので、JR芦屋駅前まで歩いて移動することにした。図らずもまち歩きが始まった格好である。

 そして結論からいうと、レポート準備を進めた2時間と、昼食を摂りにマクドナルドへ入った1時間を除いて、僕はひたすら歩き続けていた。国道43号線まで降りて、川沿いに芦屋川駅まで逆走し、ついでに芦屋神社やヨドコウ迎賓館まで足を伸ばすという充実ぶりであった。初めて訪れる場所だったから何もかもが新鮮で面白かった。

 ここからが日記の本番なのだということはよく分かっている。が、結局レポートの準備だけして家に帰り、挙句家に帰った途端、恐れていた怠け癖と歩き回った疲れがどっと押し寄せてしまい、風呂からあがって漸くレポートに着手、そしてそのまま日を跨ぎ越す羽目になってしまった。お陰でいま時間がないので、仔細に記録をつけることはできない。とにかく行った自慢みたいになってしまった。

 しかし、いつもなら「こんなレポートに丸1日もかけて。もっと上手い時間の使い方があっただろう」と嘆くところを、「降りたことのない駅で降りて周辺を散策してみたぞ」という達成感が埋め合わせているのは、それだけでも大きいと感じる。とりあえず、今日のところはこれで良しとしよう。一度、全くそれだけの目的のために、降りたことのない駅で降り、周辺をひたすら散策してみてもいいかもしれない。その時には、ちゃんと見聞録をつけてみよう。絶対長いけど。書くのもイヤになるだろうけど。

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 ところで、年が明けてから、タイトルの日付を日記の更新日に合わせるようにしていたのだが、そうするとどうも書きにくいことに気が付いた。文中に「今日」や「昨日」という言葉を入れると、それがいつのことなのか、自分でもワケがわからなくなる。これにはかなり困った。

 そのため、今回から、タイトルの日付を再び、出来事が起きた日付に合わせることにした。やはりこの方が落ち着くので、今後もこのスタイルを継続しようと思う。ただ、まさかとは思うが、当ブログのタイトルを見て日付を確認している方がいたとしたら、今後は再びズレが生じることになるので、くれぐれも用心されたし。