大変お待たせいたしました(体調を崩し、執筆が滞っておりました……)。12月15日の京都・彩ふ読書会の振り返り、残された最後の一幕をご覧に入れたいと思います。
ここまで、①午前の部=課題本読書会(課題本:遠藤周作『沈黙』)、②午後の部=推し本披露会の振り返りをお届けしました。これで読書会そのものの振り返りは終わるのですが、12月15日にはもう1つ重要なイベントがありました。それは、彩ふ読書会・京都会場の1周年記念イベントです。
彩ふ読書会は2017年11月に大阪で始まりました(意外と若い!)。当初は参加者数1ケタ台の小さな読書会だったそうです。しかし、その規模はみるみる拡大し、やがて申し込み殺到により募集から1週間と経たないうちに定員に達するのが当たり前になってきました。そこで、より多くの人に参加してもらうため、2018年12月、京都会場での読書会が新たに始まりました。
それから1年。宝塚ファンによる読書会乗っ取り、ボードゲームの流行による読書会目的の倒錯、彩読ラジオ電波遮断など、様々な事件に見舞われながらも、プロジェクターを使った上映会の実施、推し歌詞披露会・哲学カフェの開催などにより可能性を拡大しながら、読書会は毎月開催されてきました。参加メンバーも増え、新たなリピーターも続々と誕生し、大阪参加者の受け皿から、また1つ新たな顔をもった会場へと、京都・彩ふ読書会は着実に進歩を遂げてきたように思います。ともあれ、京都会場1周年を記念し、会場リーダーであるちくわさんの声掛けのもと、パーティー形式の特別なイベントを行うことになりました。
イベントは、いつもの読書会会場であるSAKURA CAFÉで、16時半から行われました。参加者は、これまでに読書会に参加したことのある方30名。大阪会場の第1回を知る超ベテランメンバーから、この日初めて読書会に参加した方まで、本当に様々なメンバーが集まってくださいました。会場には4つのテーブルが用意されており、参加者は予め決められたグループに従って自分のテーブルに着席。これは、後で述べるようにグループ対抗で行うゲームが用意されていたためで、ゲーム参加時以外は自由に移動してフリートークに花を咲かせる姿が会場のあちこちで見られました。宅配で届いたオードブルをつまみ、各自用意した飲み物を口にしながら、絶えずワイワイした雰囲気の中でイベントは進行していきました。
総合司会は、読書会随一の“ええ声”の持ち主として知られる、通称フリーアナウンサー氏が担当してくださいました。フリーアナウンサー氏は評判の“ええ声”を惜し気もなく披露し、さらに「シラフだけどテンションMAXだよ~!!」と不思議な踊りを踊りながら、プロ顔負けの名進行で会場を盛り上げておられました。
さて、そんな1周年イベントについては、書き出せばキリがないほど色んなエピソードがあるのですが、この記事では、イベント内で実施された出し物を中心に話を進めたいと思います。先に述べたグループ対抗ゲームをはじめ、1周年イベントでは幾つかの出し物が行われました。いずれも、京都会場のサポーターが企画・段取りを進めてきたものですが、自分が担当していた企画以外については当日まで殆ど様子が分からなかったので、一参加者として大いに楽しませていただきました。
それでは、プログラム順に出し物を振り返っていきましょう。
◆プログラム①:彩読京都推し本大賞2019
最初の出し物は「彩読京都推し本大賞」でした。これは、2018年12月から2019年11月までの1年間に、京都・彩ふ読書会で紹介された推し本の中から、最も気になる1作を投票で決定するというものです。もっとも、紹介された全作品の中から大賞を決定するのはあまりに大変なので、京都会場のサポーターに予め候補作を推薦していただき、その中から大賞を決定するという方式を採用しました。
準備と当日の進行は、ワタクシ・ひじきが担当しました。11月の半ば、1周年イベントの打ち合わせが終わると同時に、サポーターに候補作推薦のお願いをし(読書会主催ののーさんが、予め推し本リストを作ってくださっていたので、すぐに動くことができました)、連絡があったものから随時、発表用のパワーポイントを作成していきました。パワーポイントについては打ち合わせの時点では決まっていなかったのですが、候補作をわかりやすく、かつ効果的に紹介するにはこれしかないと思い、独断で作っていきました。盛り込んだ内容は、①候補作のタイトル・作者、②HPに掲載されている推し本の写真、③候補作の概要(主に紀伊国屋書店のHPから引用)、④サポーターからの推薦文(長いものは一部省略)の4つ。さらに、公平性を期すため、推薦順で一度スライドをつくった後、あみだくじで順番を並べ替えたりもしました。
これで準備は万端。パソコンの手配もお願いし、後は当日を待つばかりでした。1年間に読書会で紹介された推し本はのべ269作。その中から候補作は9作に絞られました。送られてくる候補作と推薦文の内容をみながら、確信めいたものが心の底から湧き上がってきました。
これは、ゼッタイに面白くなる——
当日、候補作の発表は盛況のうちに進んでいきました。タイトルを見て「おー」という声を挙げる人。自分の推し本がノミネートされていて思わず照れ笑いする人。自分が推薦した本のところで思わず声をあげてしまったサポーター。推薦文の内容でおこる笑い声。そして、「これだけ推薦文長い!」というツッコミ。色んな反応を巻き込みながら、持ち時間の30分はあっという間に過ぎていきました。
プレゼンターだった僕はスライドの内容を読み上げるので精一杯だったのですが、ありがたいことに全候補作のスライドの写真を撮ってくださった方がいましたので、拝借して紹介したいと思います。
こうなると投票の結果が気になるところですが、大賞の発表はイベントの最後に行いましたので、ブログでも最後にご紹介したいと思います。乞うご期待!
◆プログラム②:横暴編集長
続いての出し物は「横暴編集長」というゲームでした。これは、本や映画・曲のタイトルの一部が書かれた短冊を組み合わせて、新しいタイトルを1つ作り、その面白さを競い合う大喜利系ゲームです。彩ふ読書会では本編とは別に、「平日会」という週半ばの夜に開催される活動があるのですが、以前その平日会で実施して面白かったこと、そして、読書会らしいゲームであることから、出し物として企画されました。
企画・準備・進行を取り仕切ったのは、彩読ボードゲームブームの火付け役であり、一時期「本読んでる場合じゃねぇ」という勢いでゲームに勤しんでいた、横暴ボードゲーマーのBさんでした(誤解のないように申し添えますが、Bさんは哲学にも精通し、読書会では忌憚なく本質を突こうとする鋭いコメントで知られる方です)。「横暴編集長」には市販のキットもあるのですが、今回はBさんオリジナルでタイトルの一部が書かれた短冊を用意してくださいました。人数が少なければ全員でゲームするのですが、イベントでは参加者が多かったため、グループ内で最も面白いタイトルを1つ選び、その後グループ対抗頂上決戦により、最も気になるタイトルを選ぶという流れで進行していきました。
それでは、頂上決戦で紹介された各グループの代表作をみてみましょう。なお、発表の際には考えた本の内容についても発表がありました。メモを取っていないので記憶が朧気なのですが、ざっくり書き記そうと思います。
▶Aグループ:『土の中の惑星』
人類が地中で生を営むようになった近未来を舞台としたSF小説。これだけしか覚えていないのがつらいくらい、設定やプロットが作り込まれた一作で、発表時には「おー」という声が上がっていました。
▶Bグループ:『愛を叫ぶのは楽しいかね?』
恋愛をテーマにした自己啓発本。こちらも実際の発表はたいへん詳しく、本当に誰か書いているんじゃないかと思えるほどでした。僕がそうガヤを入れると、『やっぱり愛を叫ぶのは楽しいかね?』『それでも愛を叫ぶのは楽しいかね?』という続編が予定されているという返事がありました。秀逸すぎる回答がいっそう笑いを誘いました。
▶Cグループ:『利己的な世界がデンデケデケデケ』
2人の中二病患者が出会うことにより“デンデケデケデケ”が起こるという、不可解コメディー。「デンデケデケデケ」は肩を力ませながら早口で読まないといけないそうです。詳しくはフリーアナウンサー氏まで。
▶Dグループ:『フェルマーの泥棒マニュアル』
17世紀の天才数学者フェルマーが遺した完全なる泥棒マニュアル、その在処を巡り全世界を巻き込んだ争奪戦が展開するというエンタメ小説。メインタイトルに「ルパン三世」を入れるとめちゃくちゃしっくりきそうな一作でした。
さて、以上4作の中から、最も面白いと思った作品を選ぶべく、投票が行われます。拍手の音の大小で勝敗を決定するという「さんまのスーパーからくりテレビ」方式が採られました。
見事1位に選ばれたのは、Aグループの『土の中の惑星』でした。作り込まれた設定とその文学的な美しさが参加者の心を惹きつけたようです。
Aグループには商品としてゴーフレットが贈られました。皆さん喜んでその場で食べておられました。
Dグループでルパンごっこに勤しんでいた僕は、グランプリこそ逃したものの、代表作選びや頂上決戦の発表などで大いに楽しむことができました。ちなみに、僕らのグループではもう1つ、『テロリストのソクラテス』という、これまた恐ろしくパンチの利いたタイトルが出ていたのですが、内容を考える段階で泥棒マニュアルに流れてしまいました(『テロリストのソクラテス』については、欺瞞に満ちた現代日本に転生したソクラテスが「無知の知」を説くべくユーチューバーになるというところまで決まっていたのですが、肝心のテロが起きず……)。他のグループでどんな話し合いが展開していたのかも気になりますね。
◆プログラム③:推し歌詞グランプリ
最後の出し物は「推し歌詞グランプリ」でした。タイトルの通り、お題に合わせた推し歌詞を紹介し一番いいと思った歌詞を選ぶゲームで、こちらもグループ対抗で行われました。進行役は、10月に「推し本披露会」を企画・開催したみっちーさんでした。
お題は2つ出されました。最初のお題は、1周年イベントに合わせて「記念日」。記念日ソングというと、定番は結婚ソングですが、色々調べていると、卒業ソングだったり、誕生日の歌だったり、色んな曲が見つかります。どの曲を推すか……グループでの話し合いは長期戦の様相を呈しました。全体発表に移ったのは、たっぷり20分後だったと思います。
全体発表は、推し歌詞を画用紙に書いて読み上げるという形式でした。歌ってもいいという話でしたが、恥ずかしいのでしょう、歌った人は誰もおりませんでした。残念ながら全歌詞の写真が残っていないので、優勝作だけご紹介したいと思います。ちなみに、投票方法はこちらも「からくりテレビ」方式でした。
テーマ「記念日」の優勝作は、Bグループが紹介した「勇気の鐘」でした。アニメ『魔法陣グルグル』の曲を結婚ソングようにアレンジしたものとのことですが、記念日のそれからに向けてエールを送る力強く優しい歌詞が参加者の胸に響いたようでした。
続いてのお題は、「胸キュン」。結果的に結婚ソングの後に「胸キュン」が続くあたりに、『I Love Youの訳し方』課題本読書会以来続く彩読色ボケの系譜を感じますが、それはともかく。胸キュンを歌うのは女性の方で、男性シンガーは失恋の歌が多いなど、ちょっとした考察を挟みながら、曲選びは続きました。
さて、こちらも優勝作だけご紹介したいと思います。選ばれたのは、Cグループの「未来予想図Ⅱ」でした。これが選ばれたのには、歌詞の良さに加えもう1つ理由があったように思います。それは、画用紙の使い方です。
「未来予想図Ⅱ」の歌詞発表では、このように表裏に歌詞を配置し、「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」のところで画用紙をクルッと回転させるという手法が使われました。これは全く思いつかなかったキャッチーな発表方法でした。アイデアが進化していく様が楽しい発表でした。
最後に、この日一番の推し歌詞を選ぶため、「勇気の鐘」と「未来予想図Ⅱ」で決選投票が行われました。拍手が多かったのは「未来予想図Ⅱ」。定番の歌詞と発表のインパクトで見事グランプリに輝きました。「横暴編集長」の時と同様に、Cグループにはゴーフレットが贈られました。
◆発表、彩読京都推し本大賞2019
さて皆さん、お待たせいたしました。ここで、最初に投票を行った「彩読京都推し本大賞2019」の結果発表をしたいと思います。プレゼンターは先ほどに続き、僕が担当しました。
実を言うと、「横暴編集長」が始まるよりもずっと前に集計が終わっていて、意外な結果に僕は「おお!」と興奮を隠しきれないでいました。その意外さをどうしても出したくて、第3位から順に発表する形式を採りました。それでは、ここでも同じく3位から発表したいと思います。
▶第3位:『左利きの人々』(4票)
僕が推薦した『左利きの人々』が3位に選ばれました(ちょっぴり誇らしかったです)。突飛すぎないけれど意外な着眼点が面白かったということでしょうか。
▶第2位:『I Love Youの訳し方』(6票)
さあ意外な展開になりました。大阪会場にまで影響を与え、前代未聞の寸劇実施に至った話題作『I Love Youの訳し方』がまさかの2位。発表した時点でベテラン陣は早くも「これを超えた1位がある」ということに驚きを隠せない様子でした(狙い通り!)。では『I Love You』を押さえ、栄えある推し本大賞に輝いたのは何だったのか。
▶第1位:『わたしの名は赤』(8票)
なんとなんと、11月に紹介されたばかりのトルコの歴史ミステリーが、全体の4分の1の票を獲得し、見事今年の京都推し本大賞に輝きました。もともと紹介してくださったのは、海外在住経験が長く、日本ではマイナーだけど海外では人気が高い作品を毎度紹介してくださるチャーミングなご婦人。残念ながらイベントには参加されていなかったのですが、商品として後日図書カードが渡されることになりました。おめでとうございます。
◆最後に:夢が叶う場所
あっという間に時間が過ぎ、イベント終了時刻の20時がやって来ました。フリーアナウンサー氏が締めに入ったところで、思いがけない出来事が2つ起こりました。1つは、のーさんへの色紙の贈呈です。これは、この日初めてSAKURA CAFÉを訪れた大ベテラン・momomotokazuさんが会場入りしてから準備したものでした。
そしてもう1つ。いよいよ締めというところで、「すいません」と手を挙げた方がおりました。それは、京都会場のリーダーを務めるちくわさんでした。ちくわさんからは、この1年の歩みの振り返りと、それらを辿りながら思ったことについて話がありました。
1年の歩みの振り返りについては、ご本人のブログにまとめがありますのでそちらをご覧いただくとして、ここではちくわさんからのメッセージをご紹介したいと思います。
1年を振り返ってみて、何より思うことは、彩ふ読書会は「夢が叶う場所」だということです。読書会をタカラヅカ化したいという夢が叶い、ボードゲームをしたいという夢が叶い、ニコニコ生放送が実現し、推し歌詞会が開催される。そして、自分自身、哲学カフェというものに興味を持ち、そこから僅か1年で、彩読主催の哲学カフェを実現することができました。やりたいことを提案したら、どんどん実現していく自由な場、それが彩ふ読書会の良い所だと思います。ですから、皆さんもぜひ、やりたいと思うことがあったら、提案してみてください。
ちくわさんが自分の想いを長文で語るということは、今まで滅多にありませんでした。しかし、京都立ち上げから1年、思うところは色々とあったのでしょう。そのエッセンスが、このメッセージの中に凝縮されていると僕は感じました。
夢が叶う。本当にその通りだと思います。僕もまた、『有頂天家族』アニメ版上映会を通じ、ずっと観たかった作品を観るという願いを、それも大勢で笑い、泣きながら見るという願ってもない形で実現できた一人です。それから、ここで紹介した推し本大賞についても、いつか読書会で本をテーマにしたグランプリを開催したいという、何人かがずっと抱いていた妄想を漸く形にできたという達成感がありました。
この日の午後、推し本披露会後のフリートークで、ある方から興味深い提案がありました。その話を聞いた時、「この読書会の夕方の部を使えば実現できると思いますよ。ぜひまた来て話してみては如何ですか」とお伝えしました。自分一人ではできないことも、彩読の中なら形にできる。そんな場所として、色んなアイデアを取り入れながら、読書会がより豊かになればいいなあということを、これを書きながら、僕も改めて思いました。
以上をもちまして、彩ふ読書会京都会場1周年イベントの振り返りを締めくくりたいと思います。ここまでお読みくださった皆さん、本当にありがとうございました。
ここまで、①午前の部=課題本読書会(課題本:遠藤周作『沈黙』)、②午後の部=推し本披露会の振り返りをお届けしました。これで読書会そのものの振り返りは終わるのですが、12月15日にはもう1つ重要なイベントがありました。それは、彩ふ読書会・京都会場の1周年記念イベントです。
彩ふ読書会は2017年11月に大阪で始まりました(意外と若い!)。当初は参加者数1ケタ台の小さな読書会だったそうです。しかし、その規模はみるみる拡大し、やがて申し込み殺到により募集から1週間と経たないうちに定員に達するのが当たり前になってきました。そこで、より多くの人に参加してもらうため、2018年12月、京都会場での読書会が新たに始まりました。
それから1年。宝塚ファンによる読書会乗っ取り、ボードゲームの流行による読書会目的の倒錯、彩読ラジオ電波遮断など、様々な事件に見舞われながらも、プロジェクターを使った上映会の実施、推し歌詞披露会・哲学カフェの開催などにより可能性を拡大しながら、読書会は毎月開催されてきました。参加メンバーも増え、新たなリピーターも続々と誕生し、大阪参加者の受け皿から、また1つ新たな顔をもった会場へと、京都・彩ふ読書会は着実に進歩を遂げてきたように思います。ともあれ、京都会場1周年を記念し、会場リーダーであるちくわさんの声掛けのもと、パーティー形式の特別なイベントを行うことになりました。
イベントは、いつもの読書会会場であるSAKURA CAFÉで、16時半から行われました。参加者は、これまでに読書会に参加したことのある方30名。大阪会場の第1回を知る超ベテランメンバーから、この日初めて読書会に参加した方まで、本当に様々なメンバーが集まってくださいました。会場には4つのテーブルが用意されており、参加者は予め決められたグループに従って自分のテーブルに着席。これは、後で述べるようにグループ対抗で行うゲームが用意されていたためで、ゲーム参加時以外は自由に移動してフリートークに花を咲かせる姿が会場のあちこちで見られました。宅配で届いたオードブルをつまみ、各自用意した飲み物を口にしながら、絶えずワイワイした雰囲気の中でイベントは進行していきました。
総合司会は、読書会随一の“ええ声”の持ち主として知られる、通称フリーアナウンサー氏が担当してくださいました。フリーアナウンサー氏は評判の“ええ声”を惜し気もなく披露し、さらに「シラフだけどテンションMAXだよ~!!」と不思議な踊りを踊りながら、プロ顔負けの名進行で会場を盛り上げておられました。
さて、そんな1周年イベントについては、書き出せばキリがないほど色んなエピソードがあるのですが、この記事では、イベント内で実施された出し物を中心に話を進めたいと思います。先に述べたグループ対抗ゲームをはじめ、1周年イベントでは幾つかの出し物が行われました。いずれも、京都会場のサポーターが企画・段取りを進めてきたものですが、自分が担当していた企画以外については当日まで殆ど様子が分からなかったので、一参加者として大いに楽しませていただきました。
それでは、プログラム順に出し物を振り返っていきましょう。
◆プログラム①:彩読京都推し本大賞2019
最初の出し物は「彩読京都推し本大賞」でした。これは、2018年12月から2019年11月までの1年間に、京都・彩ふ読書会で紹介された推し本の中から、最も気になる1作を投票で決定するというものです。もっとも、紹介された全作品の中から大賞を決定するのはあまりに大変なので、京都会場のサポーターに予め候補作を推薦していただき、その中から大賞を決定するという方式を採用しました。
準備と当日の進行は、ワタクシ・ひじきが担当しました。11月の半ば、1周年イベントの打ち合わせが終わると同時に、サポーターに候補作推薦のお願いをし(読書会主催ののーさんが、予め推し本リストを作ってくださっていたので、すぐに動くことができました)、連絡があったものから随時、発表用のパワーポイントを作成していきました。パワーポイントについては打ち合わせの時点では決まっていなかったのですが、候補作をわかりやすく、かつ効果的に紹介するにはこれしかないと思い、独断で作っていきました。盛り込んだ内容は、①候補作のタイトル・作者、②HPに掲載されている推し本の写真、③候補作の概要(主に紀伊国屋書店のHPから引用)、④サポーターからの推薦文(長いものは一部省略)の4つ。さらに、公平性を期すため、推薦順で一度スライドをつくった後、あみだくじで順番を並べ替えたりもしました。
これで準備は万端。パソコンの手配もお願いし、後は当日を待つばかりでした。1年間に読書会で紹介された推し本はのべ269作。その中から候補作は9作に絞られました。送られてくる候補作と推薦文の内容をみながら、確信めいたものが心の底から湧き上がってきました。
これは、ゼッタイに面白くなる——
当日、候補作の発表は盛況のうちに進んでいきました。タイトルを見て「おー」という声を挙げる人。自分の推し本がノミネートされていて思わず照れ笑いする人。自分が推薦した本のところで思わず声をあげてしまったサポーター。推薦文の内容でおこる笑い声。そして、「これだけ推薦文長い!」というツッコミ。色んな反応を巻き込みながら、持ち時間の30分はあっという間に過ぎていきました。
プレゼンターだった僕はスライドの内容を読み上げるので精一杯だったのですが、ありがたいことに全候補作のスライドの写真を撮ってくださった方がいましたので、拝借して紹介したいと思います。
こうなると投票の結果が気になるところですが、大賞の発表はイベントの最後に行いましたので、ブログでも最後にご紹介したいと思います。乞うご期待!
◆プログラム②:横暴編集長
続いての出し物は「横暴編集長」というゲームでした。これは、本や映画・曲のタイトルの一部が書かれた短冊を組み合わせて、新しいタイトルを1つ作り、その面白さを競い合う大喜利系ゲームです。彩ふ読書会では本編とは別に、「平日会」という週半ばの夜に開催される活動があるのですが、以前その平日会で実施して面白かったこと、そして、読書会らしいゲームであることから、出し物として企画されました。
企画・準備・進行を取り仕切ったのは、彩読ボードゲームブームの火付け役であり、一時期「本読んでる場合じゃねぇ」という勢いでゲームに勤しんでいた、横暴ボードゲーマーのBさんでした(誤解のないように申し添えますが、Bさんは哲学にも精通し、読書会では忌憚なく本質を突こうとする鋭いコメントで知られる方です)。「横暴編集長」には市販のキットもあるのですが、今回はBさんオリジナルでタイトルの一部が書かれた短冊を用意してくださいました。人数が少なければ全員でゲームするのですが、イベントでは参加者が多かったため、グループ内で最も面白いタイトルを1つ選び、その後グループ対抗頂上決戦により、最も気になるタイトルを選ぶという流れで進行していきました。
それでは、頂上決戦で紹介された各グループの代表作をみてみましょう。なお、発表の際には考えた本の内容についても発表がありました。メモを取っていないので記憶が朧気なのですが、ざっくり書き記そうと思います。
▶Aグループ:『土の中の惑星』
人類が地中で生を営むようになった近未来を舞台としたSF小説。これだけしか覚えていないのがつらいくらい、設定やプロットが作り込まれた一作で、発表時には「おー」という声が上がっていました。
▶Bグループ:『愛を叫ぶのは楽しいかね?』
恋愛をテーマにした自己啓発本。こちらも実際の発表はたいへん詳しく、本当に誰か書いているんじゃないかと思えるほどでした。僕がそうガヤを入れると、『やっぱり愛を叫ぶのは楽しいかね?』『それでも愛を叫ぶのは楽しいかね?』という続編が予定されているという返事がありました。秀逸すぎる回答がいっそう笑いを誘いました。
▶Cグループ:『利己的な世界がデンデケデケデケ』
2人の中二病患者が出会うことにより“デンデケデケデケ”が起こるという、不可解コメディー。「デンデケデケデケ」は肩を力ませながら早口で読まないといけないそうです。詳しくはフリーアナウンサー氏まで。
▶Dグループ:『フェルマーの泥棒マニュアル』
17世紀の天才数学者フェルマーが遺した完全なる泥棒マニュアル、その在処を巡り全世界を巻き込んだ争奪戦が展開するというエンタメ小説。メインタイトルに「ルパン三世」を入れるとめちゃくちゃしっくりきそうな一作でした。
さて、以上4作の中から、最も面白いと思った作品を選ぶべく、投票が行われます。拍手の音の大小で勝敗を決定するという「さんまのスーパーからくりテレビ」方式が採られました。
見事1位に選ばれたのは、Aグループの『土の中の惑星』でした。作り込まれた設定とその文学的な美しさが参加者の心を惹きつけたようです。
Aグループには商品としてゴーフレットが贈られました。皆さん喜んでその場で食べておられました。
Dグループでルパンごっこに勤しんでいた僕は、グランプリこそ逃したものの、代表作選びや頂上決戦の発表などで大いに楽しむことができました。ちなみに、僕らのグループではもう1つ、『テロリストのソクラテス』という、これまた恐ろしくパンチの利いたタイトルが出ていたのですが、内容を考える段階で泥棒マニュアルに流れてしまいました(『テロリストのソクラテス』については、欺瞞に満ちた現代日本に転生したソクラテスが「無知の知」を説くべくユーチューバーになるというところまで決まっていたのですが、肝心のテロが起きず……)。他のグループでどんな話し合いが展開していたのかも気になりますね。
◆プログラム③:推し歌詞グランプリ
最後の出し物は「推し歌詞グランプリ」でした。タイトルの通り、お題に合わせた推し歌詞を紹介し一番いいと思った歌詞を選ぶゲームで、こちらもグループ対抗で行われました。進行役は、10月に「推し本披露会」を企画・開催したみっちーさんでした。
お題は2つ出されました。最初のお題は、1周年イベントに合わせて「記念日」。記念日ソングというと、定番は結婚ソングですが、色々調べていると、卒業ソングだったり、誕生日の歌だったり、色んな曲が見つかります。どの曲を推すか……グループでの話し合いは長期戦の様相を呈しました。全体発表に移ったのは、たっぷり20分後だったと思います。
全体発表は、推し歌詞を画用紙に書いて読み上げるという形式でした。歌ってもいいという話でしたが、恥ずかしいのでしょう、歌った人は誰もおりませんでした。残念ながら全歌詞の写真が残っていないので、優勝作だけご紹介したいと思います。ちなみに、投票方法はこちらも「からくりテレビ」方式でした。
テーマ「記念日」の優勝作は、Bグループが紹介した「勇気の鐘」でした。アニメ『魔法陣グルグル』の曲を結婚ソングようにアレンジしたものとのことですが、記念日のそれからに向けてエールを送る力強く優しい歌詞が参加者の胸に響いたようでした。
続いてのお題は、「胸キュン」。結果的に結婚ソングの後に「胸キュン」が続くあたりに、『I Love Youの訳し方』課題本読書会以来続く彩読色ボケの系譜を感じますが、それはともかく。胸キュンを歌うのは女性の方で、男性シンガーは失恋の歌が多いなど、ちょっとした考察を挟みながら、曲選びは続きました。
さて、こちらも優勝作だけご紹介したいと思います。選ばれたのは、Cグループの「未来予想図Ⅱ」でした。これが選ばれたのには、歌詞の良さに加えもう1つ理由があったように思います。それは、画用紙の使い方です。
「未来予想図Ⅱ」の歌詞発表では、このように表裏に歌詞を配置し、「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」のところで画用紙をクルッと回転させるという手法が使われました。これは全く思いつかなかったキャッチーな発表方法でした。アイデアが進化していく様が楽しい発表でした。
最後に、この日一番の推し歌詞を選ぶため、「勇気の鐘」と「未来予想図Ⅱ」で決選投票が行われました。拍手が多かったのは「未来予想図Ⅱ」。定番の歌詞と発表のインパクトで見事グランプリに輝きました。「横暴編集長」の時と同様に、Cグループにはゴーフレットが贈られました。
◆発表、彩読京都推し本大賞2019
さて皆さん、お待たせいたしました。ここで、最初に投票を行った「彩読京都推し本大賞2019」の結果発表をしたいと思います。プレゼンターは先ほどに続き、僕が担当しました。
実を言うと、「横暴編集長」が始まるよりもずっと前に集計が終わっていて、意外な結果に僕は「おお!」と興奮を隠しきれないでいました。その意外さをどうしても出したくて、第3位から順に発表する形式を採りました。それでは、ここでも同じく3位から発表したいと思います。
▶第3位:『左利きの人々』(4票)
僕が推薦した『左利きの人々』が3位に選ばれました(ちょっぴり誇らしかったです)。突飛すぎないけれど意外な着眼点が面白かったということでしょうか。
▶第2位:『I Love Youの訳し方』(6票)
さあ意外な展開になりました。大阪会場にまで影響を与え、前代未聞の寸劇実施に至った話題作『I Love Youの訳し方』がまさかの2位。発表した時点でベテラン陣は早くも「これを超えた1位がある」ということに驚きを隠せない様子でした(狙い通り!)。では『I Love You』を押さえ、栄えある推し本大賞に輝いたのは何だったのか。
▶第1位:『わたしの名は赤』(8票)
なんとなんと、11月に紹介されたばかりのトルコの歴史ミステリーが、全体の4分の1の票を獲得し、見事今年の京都推し本大賞に輝きました。もともと紹介してくださったのは、海外在住経験が長く、日本ではマイナーだけど海外では人気が高い作品を毎度紹介してくださるチャーミングなご婦人。残念ながらイベントには参加されていなかったのですが、商品として後日図書カードが渡されることになりました。おめでとうございます。
◆最後に:夢が叶う場所
あっという間に時間が過ぎ、イベント終了時刻の20時がやって来ました。フリーアナウンサー氏が締めに入ったところで、思いがけない出来事が2つ起こりました。1つは、のーさんへの色紙の贈呈です。これは、この日初めてSAKURA CAFÉを訪れた大ベテラン・momomotokazuさんが会場入りしてから準備したものでした。
そしてもう1つ。いよいよ締めというところで、「すいません」と手を挙げた方がおりました。それは、京都会場のリーダーを務めるちくわさんでした。ちくわさんからは、この1年の歩みの振り返りと、それらを辿りながら思ったことについて話がありました。
1年の歩みの振り返りについては、ご本人のブログにまとめがありますのでそちらをご覧いただくとして、ここではちくわさんからのメッセージをご紹介したいと思います。
1年を振り返ってみて、何より思うことは、彩ふ読書会は「夢が叶う場所」だということです。読書会をタカラヅカ化したいという夢が叶い、ボードゲームをしたいという夢が叶い、ニコニコ生放送が実現し、推し歌詞会が開催される。そして、自分自身、哲学カフェというものに興味を持ち、そこから僅か1年で、彩読主催の哲学カフェを実現することができました。やりたいことを提案したら、どんどん実現していく自由な場、それが彩ふ読書会の良い所だと思います。ですから、皆さんもぜひ、やりたいと思うことがあったら、提案してみてください。
ちくわさんが自分の想いを長文で語るということは、今まで滅多にありませんでした。しかし、京都立ち上げから1年、思うところは色々とあったのでしょう。そのエッセンスが、このメッセージの中に凝縮されていると僕は感じました。
夢が叶う。本当にその通りだと思います。僕もまた、『有頂天家族』アニメ版上映会を通じ、ずっと観たかった作品を観るという願いを、それも大勢で笑い、泣きながら見るという願ってもない形で実現できた一人です。それから、ここで紹介した推し本大賞についても、いつか読書会で本をテーマにしたグランプリを開催したいという、何人かがずっと抱いていた妄想を漸く形にできたという達成感がありました。
この日の午後、推し本披露会後のフリートークで、ある方から興味深い提案がありました。その話を聞いた時、「この読書会の夕方の部を使えば実現できると思いますよ。ぜひまた来て話してみては如何ですか」とお伝えしました。自分一人ではできないことも、彩読の中なら形にできる。そんな場所として、色んなアイデアを取り入れながら、読書会がより豊かになればいいなあということを、これを書きながら、僕も改めて思いました。
◇ ◇ ◇
以上をもちまして、彩ふ読書会京都会場1周年イベントの振り返りを締めくくりたいと思います。ここまでお読みくださった皆さん、本当にありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (2)
力作パワポとイベントでの盛り上げ方を見て、ひじきさん、力尽きないかしら…?と内心心配してましたが、やはり…笑笑
1周年イベントだけでなく、京都読書会の盛り上がりは、ひじきさんのお力が大きいと思います!
ちくわ氏の挨拶は、普段あまり自分の思いを語られず、聞き役に回られる方だけに胸アツでした…!!
素敵な仲間に出会えたことに感謝しつつ、三年目、新たな伝説の幕が開くことを期待して、胸が高鳴る私です!!
これからもよろしくお願いします!
僕自身は1年間ずっとキャッキャとはしゃいでいただけという気持ちなんですね笑 それが結果的に盛り上がりに繋がったのなら、本当にありたい自分が受け容れられたということなんだと思います!
順番前後しましたが、お忙しい中はるばる(?)京都までお越しくださりありがとうございました! 近いうちに神戸にもお邪魔したいと思っています。こちらこそ、これからもよろしくお願いします‼︎