寝る前に、さくらももこさんのエッセイ『そういうふうにできている』をパラパラとめくってみて、衝撃を受けた。とにかく文章が面白い。8月に『もものかんづめ』を読んだ時にも文章が面白いと感じたが、それで期待値が上がってなお、さくらももこさんの文章は面白い。ただ、今回1つ違うのは、面白いと感じると同時に、その文章の中に、「衝撃」というか、とにかく面白いの一言では済ませられない何かを見たことである。

 その何かをなんとか言葉にするなら、〈自分自身の弱い部分を、何の嫌味もなく書き切り、笑いに変える筆力〉だと思う。さくらももこさんは、自分をエラく見せようとはしない。むしろ自分の弱い部分・ダメな部分を素直に出している。しかし、だからといって自虐的というわけではない。卑下しているわけではなく、そういう部分を併せ持つ自分を自然体で書いているような印象である。

 さらに言えば、自分にダメな部分があるからと言って、他人を持ち上げるなどということは全くない。今回読んだ20ページほどの文章の中には、主に3人の登場人物がいたが、それぞれにダメなところがある。それを見ていると、人間というのは等しくダメな部分を持っているもので、そしてそれゆえに愛すべき生き物だという見方が、文章の奥底を流れているような気がしてくる。きっとこれが、面白さにもつながるエッセイの秘訣なのだろう。

 本当は、僕がなぜこんな感想を急いでしたためたのかまで書いたところで、この日記は完結するのだろうけれど、時間がないのでここで筆を置く。後のことは、メモ帳か何かに書きつけるとしよう。