長らく放置していた森見登美彦さんのトークセッションの振り返りを書き始め、夕方までに半分近く完成させた。いつもなら書けたところから順次アップしているので、今日の記事はその話になるはずであった。が、アップしようとしてはたと思い留まる。なんとなくだが、この振り返りに関しては、全編きちんと完成させてから一気に上げた方がいいような気がしてきたのだ。明日には完成する予定だから、それから公開することになると思う。しばしお待ち願いたい。

 夜、中之島で読書会メンバーとBBQをした。17時45分になにわ橋の中央にある顕彰碑の前に集合する。グーグルマップに載っている場所だからという理由でここが集合場所になったらしいのだが、橋の真ん中に集合するというのはかなり斬新だった。

 かねがね肉が食べたいと思っていたので、BBQに参加できたのはありがたいことだった。それに、「鉄板が空いたらすぐに肉を焼け」という類のことをのたまうストイック焼肉戦士もいなかったので、のんびり肉を味わうことができた。

 そんな緩やかな時間の中、肉を一瞬で黒炭にしてしまいそうな勢いで、僕らの話は盛り上がった。話題が一点に留まることなく変転し続けるのがこうした会の常であるが、その中から演劇部関連の話題を拾っておこうと思う。

 このほど、彩ふ読書会に「演劇部」という新たな部活ができた。『I Love Youの訳し方』課題本読書会で寸劇が行われたのをきっかけに、読書会メンバーの間で小さく揺れていた〈演劇や朗読をしてみたい〉という思いに次々に火が点いた。そうして、推し歌詞披露会を企画から1ヶ月で実現に導いたみっちーさんが部長に就き、読書会アンバサダーという唯一無二の称号を誇るmomomotokazuさんが副部長で補佐に回るという最強の布陣で、演劇部が創設された。さらにこのほど、ヅカ部長が演劇部に入部した。読書会パワフル三姉妹が揃ったというこの事実だけで、演劇部は実質的な活動を何もしないうちから破竹の勢いを見せている。

 とはいえ、やはり何か活動をしないと始まらないわけで、肉に食らいつきながら、まず何をしようという話になった。みっちーさんは中田敦彦のYouTube大学で「マクベス」に傾倒したらしく、しきりに「マクベス」をやりたいという。一方僕は、まずは短編を作り込むところからという、使い所を間違えたクソマジメ精神を発揮し、芥川の『蜘蛛の糸』の朗読がやりたいと言い出す。そこへ、漫画を本気でアテレコしたいという話が持ち上がり、これで一気に話が盛り上がる。まあそれは良いのだけれど、話が盛り上がるばかりで、収拾はまるでつかない。もとより話している全員がほろ酔いである。まとまるはずがない。

 酒飲みの妄想はさらにひどい方向へ暴走する。「『相棒』ごっこがやりたい」挙句の果てにこんな話になる。演劇でもなんでもない。モノマネないし宴会芸である。「みっちーさんは名前の通り神戸くんをやってください」「右京さんはどうします?」「〇〇さんがいいんじゃないですか?」「△△氏が小野田官房長をやると似合いそうですね」いない人の名前も次々出てくる。我々はプロデューサー業をやるために演劇部を立ち上げたのではないはずである。しかし、もう誰もそんなことなど気にしない。話を止める人がいない以上、場がしらけるのを待つほかない。

 しかし、場はますます過熱する。BBQのあと「なんのまだまだ、これからよ」と入ったカフェで、事もあろうに僕らは「犯人は踊る」を始めてしまったのだ。『相棒』ごっこの話の流れで「犯人は踊る」をやるなど、火に油を注ぐようなものである。ただカードゲームをしているだけなのに「チッ、何で俺たちが取り調べを受けなきゃなんねえんだ」と悪態をつく阿呆まで現れる(恥ずかしいかな僕である)。こうして刑事モノ妄想もまた踊り狂い続ける。そして気付けば、読書会で『名探偵コナン』をやるなら誰がどの役をやればいいかという話で、僕らは解散までひたすら盛り上がっていた。

 ……ああ、急に冷静になってきた。さてさて、この話のオチをどうしたものだろう。収拾がつかないことは先に確認したとおりであるが、着地点すら見えないというのは、書いている身としてはこの上なく辛いことである。ふと、かつて『四畳半神話大系』の名文をもじって冗談半分に書いた教訓を思い出す。

 盛況した飲み会ほど、語るに値しないものはない。

 値しないかどうかは別にして、語りようがないものだと、僕は改めて気が付いた。

 『四畳半神話大系』で思い出したのだが、僕は森見登美彦さんのトークセッションの振り返りを書いている最中だった。こんなものを書いている場合ではない。嬉々として口角を上げながら書き進めてしまった己の阿呆ぶりが嘆かわしい。幕を下ろさせていただく。