2代目エアーベッドが我が独房にやって来た。本日夜8時半過ぎのことである。

 配達指定の時間帯も終わりが見えている頃で、私は些か落ち着かなくなっていた。エアーベッドが来なければ、私はまたフローリングで寝袋にくるまって一夜を過ごさねばならぬ。きっと肩がバキバキになる。朝の寝起きが不快になる。まだ来ないのだろうか。あるいは、先ほど寝落ちした間に不在票を入れられてしまったのだろうか。そうだとしたら悪いのは私である。誰も責められないが、堪えるものは堪える。えい、コノヤロー! そんな風に思っていたところへ、インターホンの音がした。私は大いに安堵し、喜んだ。

 マンションのオートロックを解除し、すぐさま玄関へ行って自らドアを開けると、目の前に配達員の姿がヌッと現れたので、思わず飛びのきそうになった。前のめりになったり後ずさりしたり、我ながら面倒な奴である。ともあれ気持ちを落ち着けて、受取の印鑑を押し、肝心の荷物を受け取った。想像以上にずしりと重かった。

 短い廊下を通って部屋へ辿り着くと、転がっていた寝袋やら先代エアーベッドやらをどけてスペースを確保した。そして、2代目を取り出し、膨らませた。先代に比べるとカクカクとしたヤツで、高さもある。寝転がってみると、やや硬い印象だ。けれども、その硬さは、フローリングに身を投げ出した時に感じるそれとはどこか違った。短い時間だったが、私はふむふむと感触を確かめた。