2018年も残りわずか。これが今年最後の記事です。
 というわけで、この1年を振り返ってみたいと思います。


◆2018年あれやこれや


 スマホに残していた写真などを頼りに、1月から順に振り返ってみますと、本当に色んなことがありました(以下この節はメンドクサければ読み飛ばしていただいて結構です)。

 伊勢志摩の大野浜で初日の出を見たり、
 『ポーの一族』を観劇してタカラヅカデビューを果たしたり、
 映画を観に行く習慣ができたり、
 泊まれる本屋でお馴染み、池袋の「Book&Bed」に泊まってみたり、
 貴船神社で「恋愛 無駄口を慎め」というおみくじをひいたり、
 会社の研修で同期に上から目線をたしなめられたり、
 大阪城リレーマラソンに初参加し、12㎞を50分で走ったり、
 25歳になったり、
 会社の出張帰りに大学の後輩と皇居・千鳥ヶ淵で花見をしたり、
 新入社員が入ってきて一応先輩になったり、
 大学の友人・先輩と1泊2日の城崎旅行に出掛けて浴衣にハマったり、
 会社から銀行まで車の運転をするようになったり、
 京都大学のタテカンを写した写真がツイッターで拡散されたり、
 会社のロッカーで大阪北部地震に遭遇したり、
 大学院時代の友人と京都で再会しセブンイレブンの軒先で一夜を明かしたり、
 家族で広島・生口島へ祖父の墓参りに出掛けたり、
 学生時代からの読書会で予想外の質問に言葉を失い自己嫌悪に陥ったり、
 超大型台風のあと2日間停電を経験したり、
 『ペンギン・ハイウェイ』の感想を徹夜電話で話し合ったり、
 広島・呉を巡る旅行に出掛け『この世界の片隅に』の聖地巡礼を果たしたり、
 先輩から「銀木犀をテーマに一本書く」という謎の指示を受けたり、
 サプライズで妹の彼氏と面会させられたり、
 着物をレンタルして嵐山を歩いたり、
 年内に二度ブログを作り直し、漸く毎日更新に辿り着いたり、
 がむしゃらになって「銀木犀紀行」を書き上げたり、
 会社をやめた元同期とカラオケでオールしたり、
 上司にスナックへ連れて行っていただいたり、
 心斎橋でコブクロのストリートライブに遭遇したり、
 京都まで月夜の紅葉狩りに出掛けたり、
 森見オフ会に参加したり、
 園田競馬場のダートコースを走ったり、
 クリスマスイブの晩に必死で年賀状を書いたり、
 3日連続で忘年会に参加したり——

 とまあ、小さなものから大きなものまで本当に色んなことがありました。


◆一番大きな出来事


 さて、ここからが本題です。そんな数ある出来事の中で、今年自分にとって特に大きかった出来事の話をしようと思います。

 それは、彩ふ読書会に参加したことです。

 このブログでも既に何度か触れていますが、僕は現在、大阪・京都で毎月開催されている彩ふ読書会という読書会に参加しています。初めて参加したのは7月でしたが、それからあっという間にのめり込み、12月からは京都のサポーターを務めております。

 参加のきっかけは、読書の習慣をきちんと作りたかったこと、そして、本の話ができる人が欲しかったことでした。分けても、本の話ができる人は、会社にほんの数人しかおりませんでしたから、とにかく欲しくてたまりませんでした。あとできちんとお話しようと思いますが、読書は僕にとって、単なる趣味ではなく、もっと大事なものなんです。だから、その話ができる人が欲しかった。そして、そういうコミュニティに身を置くことで、読書の習慣をちゃんともてるようにしたかった。そこで、関西でやっている読書会をネットで調べました。そうして見つけたのが、彩ふ読書会でした。

 初めて参加した時、とにかく2時間ぶっ通しで本の話ができる場所があることに、僕はただただ感動しました。そして、これから毎月色んな人と本の話ができるんだと、ささやかな興奮を覚えたものでした。

 一方で、入ったばかりの頃には、読書会という場は、本の話だけをしている場、言い換えれば、趣味以上の世界には踏み込まない場であるように見えました。考えてみれば仕方のないことなのですが、その頃には、まだ他の参加者の顔や名前もうろ覚えで、年齢をはじめ読書以外のその人の部分については全く見えない状態でした。したがって、趣味の世界に生きるというルールを暗黙裡に共有することで、読書会の場が成り立っているのだとさえ思っていました。

 しかし、繰り返し参加するうち、わけても、参加者同士のサークル活動などを通じて飲み会の場にも顔を出すようになるうち、読書会の中での人付き合いが、一段、また一段と深まっていくようになりました。ただ本の話をするのでも、好きな本の話をするだけじゃなくて、本を読み始めたきっかけの話や本を選ぶ時のポリシーなどを聞くようになり、ただ知らない本を教え合う段階の一歩先へ踏み出したなと感じました。先日行われた忘年会の席では、偶然同じ本を読んでいた人と話し込み、印象に残った箇所の違いを通じて、自分自身の本の読み方を振り返ることもできました。

 また、色んな話をしていると、自然と、読書に留まらない一人一人の姿や考えに触れる機会も多くなりました。参加者の皆さんは、僕の知らない世界をたくさん持っていて、その世界に僕を誘ってくれます。お陰で、最近レポートした謎解きゲームのような新しいことにチャレンジできましたし、実際には経験できないけれども、話づたいに未知の世界を垣間見ることもできました。

 読書会に参加されている方は、優しくてオープンで話し好きの方が多く、一緒にいると心が和らいで楽しくなってくるのです。あんまり褒めちぎると胡散臭くなりそうですが、僕にとっては全て真実である。僕はもう随分ぶりに、自分がどっぷりのめり込める居場所に出会えたと、本気でそう思っています。

 ところで——

 先にも申しました通り、僕にとって読書というのは、単なる趣味以上のものである。学生生活が終わり社会人になるという間際になって、もうほんとそれだけで何か1本書けるのではないかというくらいの分厚い経験を通じて、僕は、〈本を読むこと〉そして〈そこで感じたこと・考えたことを自分の中に蓄積していくこと〉を、一生大事にしたい、ずっと続けていきたいと思いました。20数年人生を歩んできて、本当に自分が大事にしたいものに、僕はここで漸く巡り合ったのです。

 当時の僕は全く自信のない人間で、就職活動の時も、自分が全うな社会人になって仕事をバリバリこなす姿が想像できず、こんな自分でも拾ってくれるところがあれば、そこへ付き従おうという気持ちで現職に就きました。読書と感想・思考の蓄積を、自分の人生の軸にしたいと思ったのは、就職活動を終えたあとのことでした。僕は、好きなものに邁進したいなあという気持ちを幾ばくか抱えつつも、それでは食っていけないこと、それから、何か1つのことに傾倒する人生に自分は耐えられないだろうと思ったことなどから、読書という本当に大切にしたいものを、仕事ではなく趣味にするという生き方を選択しました。この選択の是非についてはここでは問わないことにしましょう。僕はただ、当時の(そして今もおそらく変わっていないであろう)せっかちで視野の狭い頭で考えたことをなぞり書きしているだけですし、それ以上のことはできないわけですから。

 いずれにせよ、重要なのは、読書が僕にとって、単なる趣味を越えたものであるということ、人生の中でずっと大事にしたいものであるということです。だからといって、誰よりも読みが深いかと言われるとそんなことはないし、冊数も月3~4冊と少ない。毎日本を読んでいるかというと、実際そうでもなくて、飲み会が続くと2、3日本を開かないこともある。しかし、そうであっても、読書に対するこだわりだけは消えたことがない。読書が趣味以上の何かであるというのは、つまりそういうことだと僕は思っています。

 彩ふ読書会で僕が手にしたものは、〈その何かを続けるモチベーション〉と、〈その何かを共有できる仲間〉と、〈その何かを起点にして人生を豊かにしていくチャンス〉なのだと思う。なればこそ、読書会への参加が、この1年で最も大きかった出来事なのである。

◇     ◇     ◇

 1年の最後にたいへん真面目な話をしてしまいました。まあ、いつも口から出まかせにものを言い、指から出まかせに文字を打っているわけですから、たまにはちょっとぐらいちゃんとしたところを見せさせてくださいな。

 といったところで、今年最後の記事も終わりにしようと思います。来年もきっと色んなことがあるでしょう。そして、その中には、僕にとって本当に大きな出来事がまたあるかもしれない。そんな期待に胸膨らませつつ、紅白歌合戦の結果と、ゆく年くる年を観ながら、新年を迎えたいと思います。

 皆さまよいお年を。そして、来年もよろしくお願いします!