少し日が経ってしまったが、今日は日曜日に行われた、彩ふ読書会・謎解き部の活動をレポートしようと思う。

 今から1ヶ月ほど前、参加者同士の交流の機会を増やすべく、読書会内で部活を立ち上げようという動きが出た。以来、参加者がそれぞれの趣味を生かした部活を作り、興味を持った人が入部している。これまでに誕生した部活には、神社仏閣部、ビジネス書・自己啓発書部、妄想部、写真部、ヅカ部、JOJO部などがあり、彩ふ読書会の名に違わず多彩である。そして、その中に、謎解き部もある。

 読書会謎解き部といっても、推理小説を携えてカフェに集まる安楽椅子探偵の密会ではない。あちこちで行われている謎解きゲームに参加して楽しもうという集まりである。そして、その第1回の部活が、去る3連休の日曜日に開かれた。人もすなる謎解きというものを、我もしてみんとてするなり、的な感覚で謎解き部に参加した僕にとっては、初めての謎解き挑戦でもあった。

 参加したのは、梅田・茶屋町で開催されていた「記憶を失くした雪だるま」というまち歩き型の謎解きゲームである。参加者は「謎解きキット」を購入し、様々なアイテムを駆使しながら、キット内の冊子のストーリーに沿って茶屋町界隈を歩き、謎を解いていく。家族で楽しめるのがウリのイベントだったが、我々は大人9名でこのイベントに乗り込んだ。

 さて、ここからは時系列叙述でお楽しみいただこう。なお、幸か不幸か、僕が年賀状作成に追われている間にイベント期間が終わったので、堂々とネタバレしながら書き進めることにしたい。

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 日曜日11時、僕らは阪急梅田駅の1階にある紀伊国屋書店の前で集合した。それからキットを購入すべくアズナスへ向かう。ここで、9人の大人たちは3人ずつ3つのグループに分かれることになった。謎解き経験者がそれぞれグループリーダーになり、あとのメンバーはグー・チョキ・パーで分かれる。なんだか懐かしい感じのする幕開けである。結果、僕は男性3人からなるパーチームの一員となった。

 「同じゲームをやってるんだし、そのうちどっかで会うでしょ。では、解散!」という謎解き部長の挨拶と共に、僕らは梅田駅をあとにした。

 キットはプラ製の手提げ袋に入っており、その中身は、3章からなる物語が書かれた冊子、地図、コースターのような丸い紙、そしてメモ用の鉛筆だった。僕らはまず、地図を頼りに、1章の物語に記された3つの場所へ向かう。それぞれの場所にある手がかりをもとに、僕らは謎を解いていく。

 例えば、下の写真に登場するホテル阪急インターナショナルには、北側エントランスのツリーの根元にメッセージボードが置かれていて、そこには「かたのちからをぬいて答えてね」と書かれている。そこで、冊子に記されたひらがなの文字列を「かたのちから」をぬいて読むと、「きやんでい」=「キャンディ」という言葉が浮かび上がる。こんな調子で、次の章につながるヒントを明かしていくのだ。

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 「よーし、一番に謎を解くぞ!」と、リーダーC氏が意気込む。「折角班分けしたんやし、優勝したらなんかもらえるといいですね」と言うのは、実は飛び入り参加だったMさんだ。「ランチのドリンクバーおごってもらうとかですかね」僕も負けじと続ける。「それええやん」とC氏が言った時だった。

 目の前に、見慣れた3人組の姿が見える。

 1章のヒントが隠された3地点は、茶屋町北側に集中している。歩き回っていれば、他のチームに遭遇することだって十分あるのだ。

 「いま幾つ目ですか?」と尋ねてみる。「2つ目」と答えが返ってくる。僕らはこれから2つ目へ向かおうというところだ。「ホテルのヒントむずいですよ。僕らそこで1時間考え込んでました」と、Mさんがとりあえず煽る。集合からまだ30分しか経っていないから、明らかに辻褄が合わない。ともあれ、3人の姿が見えなくなると、僕らは少し急ぎ足になった。

 こうして、1章に記された3つの地点を巡り、僕らは次の章へ進む手掛かりを得た。

 みどりのきゃんでぃを3つ同時につくったとき、紫が示す場所

 ここに、次の章へ進むためのヒントが隠されている。

 場所と言われて、地図を取り出す。すると、地図の右上に、緑色の矢印のようなものが3つあった。この矢印の交わる点がその場所ではないかと思い、線を引く。しかし、3本の線はニアミスしていて1点で交わることはなかった。それに、このやり方だと、謎が1つ残ってしまう。「紫が示す場所」紫とは、いったい何を意味しているのだろう。

 その時、僕はふと、キットの底に転がっているコースターのような丸い紙に目を留めた。その瞬間、謎が解けた。

 コースターの片面には、縁に向かって矢印がいっぱい打たれていた。その中に、緑の矢印が3本、そして、紫の矢印が1本ある——

「わかりましたよ!」

 興奮気味に声をあげ、僕は説明を始めた。地図の上に丸い紙を置き、それぞれの3つの緑矢印を向い合せる。その時、紫の矢印は、ある神社の名前を指し示していた。

「行きましょう!」

 Mさんが言い、僕らは神社へ向かって歩き始めた。

「いい感じですね。ほんと何気ないところにヒントが隠されてるんです。それで全部使うんで」

 経験者のC氏が話す。そして、「例えば、これとかめっちゃ怪しいでしょ」と言って、キットを入れた手提げ袋の模様を指差した。その瞬間、僕は解散前の輪の中で聞いた会話を思い出した。「この袋、クリアファイルになるみたい」確かに、袋には切り取り線のようなものがあった。

 これも切って使うに違いない!

 僕はだんだん楽しくなってきた。

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 もうちょっと書き進めたいところですが、時間が遅いので、この記事は連載ものにします。しかしこれ、2回は覚悟していたけど、3回以上コースやなあ……とりあえず、次回をお楽しみに。