そろそろ、溜まっていたネタを書き出していこうと思う。まずは読書の話をしよう。

 去る三連休の間に、『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』を読んだ。休みの間とはいえ、遅読の私がたった3日で1冊の本を読み切るのは珍しい。それが可能だったのは、この本が面白く、また読みやすかったからだろうと思う。

 本作は、北鎌倉にある架空の古書店「ビブリア古書堂」を舞台に、持ち込まれた本が呼び込む謎や事件を解決していくミステリーである。ミステリーと言っても、難解なトリックを駆使した殺人事件を解決すると言った類のものではなく、本の書き込みの謎を追ったり、盗られた本を取り返したり、奇妙なお客の抱える事情を明かしたり、そんな謎解きが続く作品だ。先だって同じ本を読んでいた“師匠”によると、このタイプのミステリーは「日常の謎」というジャンルに括られるらしい。

 本作の語り手は、23歳の青年・五浦大輔。就職に失敗し家で「プー輔」と呼ばれる日々を送っていた彼は、ある日、祖母の遺品の『漱石全集』の中に、「夏目漱石 田中嘉雄様へ」という書き込みを発見する。その書き込みの謎を解明すべく、大輔は「ビブリア古書堂」を、さらに、入院中の店長がいる病院を訪ねる。店長・篠川栞子は、病室に本をうず高く積み上げるビブリオマニアで、本の話になると夢中になるが、それ以外のことになると口をきくことができないという変わった女性だった。しかし、大輔はこの「篠川さん」に魅かれていく。彼は本が好きでありながら、自身にもわからぬ理由により、本を読むことができなかった。だから、「篠川さん」の本の話を聴きたいと思ったのだ。一方の篠川栞子も、自分の長話を傾聴してくれる「五浦さん」に魅かれていく。そして彼に、「ビブリア古書堂」で働くことを勧めるのだった。

 かくして古書堂の新人店員になった大輔は、日々、古書を巡る謎や事件に遭遇する。そして、それを栞子に話す。本の話になると途端に人の変わる栞子は、その話から一気に謎を解いてみせる。——これが本作の流れである。

 基本的に、それぞれの謎や事件にまつわる話は独立しているので、個々のエピソードとして楽しめる。しかし、本作の終盤では、それらの話が一気につながり、ある1つの事件の解決へと向かっていく(軽くネタバレかもしれない)。同じラストでは、本を通じて知り合い、本の話をすることを通じて絆を深めてきた大輔と栞子の関係に、重大な変化が生じる(重いネタバレかもしれない)。事件のスリルと人間関係を巡るハラハラが、「先を読みたい」という気持ちを加速させる、そんなラストだ。

 何だか舌足らず、もとい筆足らずな感想になってしまったが、とにかく面白い作品だったことは間違いない。本が好きな人にも、そうでない人にも、オススメしたい。特に、何かを読みあぐねている人にオススメしたいなあと、個人的には思う。