あ~、昨日ランチで食ったカニクリームコロッケは本当に美味かった!!

 私が突然そう叫びたくなったのは、定時を回って間もない会社事務所の自分の席でのことだった。いきなりどうしたなどと訊かれても困る。私だって何が起こったのか未だにわからないのだから。まあ確かに、梅田の自由亭のカニクリームコロッケは美味かったけれども。

 さて、こんな叫び声をあげかけた私にとって今日がどんな1日だったかということなど、つぶさに説明する必要もあるまい。

 先週金曜日の時点で、私は今日すべき仕事をやり遂げられるか不安を抱いていた。その不安に発破をかけられたお陰で、やりたかった仕事は無事やりおおせた。しかし、その代償として、新たに発生した仕事が疎かになった。夕方に至って、我ながら情けないばかりの確認不足が相次ぎ、申し訳なさで胃も心も縮み上がりそうであった。

 「君はとかく視野が狭いから」会社に入って何度も言われた言葉が耳の奥でこだまし、改めて1日を振り返る。端から見えていたものだけが見えていて、新たに見るべきだったものは視野の外にあった。なるほど、あれはこういうことかと、私は思った。

 ところで、カニクリームコロッケのことをあまりに強く思い過ぎたせいで、私は晩にコロッケが食べたくなった。会社帰り、スーパーに立ち寄り、すぐさま総菜コーナーに向かう。ところが、こういう日に限ってコロッケは売り切れであった。他に食べたいものを考えたが、思いつかない。結局、夕食は納豆ご飯になった。